つれづれなる備忘録

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CGS単位系

1. CGS単位系

 今回はCGS単位系について取り上げる。以前紹介したSI単位系では、長さをメートル(m)、質量をキログラム(kg)、時間を秒(s)を基準とするMKS単位系が採用されており、論文や国際的な規格書などはこれらの単位で表記するのが主流になっている。MKS単位系に対して長さをセンチメートル(cm)、質量をグラム(g)、時間を秒(s)を基準とする単位系はCGS単位系と呼ばれ、19世紀にイギリスで提案されている。卓上の科学実験のスケールに対してはCGS単位系が合うので科学者の間で好まれ、人、建物などの日常の物体ではMKS単位のスケールが合うので技術者に好まれた。CGS,MKS単位系が並立して使用される時期が続いたが、1954年の第10回国際度量衡総会 (CGPM)でMKS単位系を用いるSI単位系が採択されて以後、MKS単位系が世界標準となっている。ただし、古い資料・論文や教科書ではCGS単位系が採用されている場合がある。

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2. CGS単位とSI単位

 力学系におけるCGS単位系とSI単位系への変換を下の表にまとめた。SI単位系への変換は、cm=10-2 m, g=10-3 kgの関係を用いて、CGS系での組立単位をMKS単位に置き換えて演算すればよい。

物理量 名称 CGS組立単位 SI単位への変換
長さ(L) cm - 10-2 m
質量(M) g - 10-3 kg
時間(t) s - 1 s
速度(v) cm/s 10-2 m/s
加速度(a) Gal cm/s2 10-2 m/s2
力(F) dyn g·cm/s2 10-5 N
エネルギー(E) erg g·cm2/s2 10-7 J
仕事量(W) erg/s g·cm2/s3 10-7 W
圧力(Pr) Ba (バリ) g/cm2 10-1 Pa
粘度(μ) P (ポアズ) g/cm·s 10-1 Pa·s
動粘度(ν) St (ストークス) cm2/s 10-4 m2/s
波数(k) (カイザー) cm-1 100 m-1

 個人的には圧力のCGS単位のBaは見たことがない。圧力では大気圧で使われるatmや真空ではtorr、あと水銀柱を基準とするmmHgはSI単位系ではないが慣用的に使われている。加速度のGal(ガル)や粘度P(ポアズ)、波数のカイザーはセンサ・測定器の性能表示においてしばしば使われる。

3. まとめ

 今回はCGS単位系と力学系におけるCGS単位を紹介した。次回は電磁気に使われるCGS単位を紹介する予定。