今回はLaTeX文書の作成方法として文中の式、図、表などの参照番号を作成する方法について紹介したい。
1. 参照番号
参照番号とは、例えば式(1)や図1などの番号のことでLaTeXでは各式や図表などに固有のラベル名をつけることで、参照番号を自動で生成することができる。 これは途中に式や図表を追加しても、全体の参照番号が自動で更新されるため、特に式や図表の数が多い場合は非常に便利な機能である。
2. 参照作成方法
基本的には\label{種別:固有名}
というコードを数式、図、表環境の中に記述する。種別は、例えば数式であればeq
, 図であればfig
となる。固有名については自由につけることができる。作成した参照を文中で使用するには`\ref{種別:固有名}で参照することができる。
例として数式の参照を作成するには以下のように記述する。
\begin{equation} x^2 - 6x + 1 = 0 \label{eq:1step} \end{equation}
ここでは1step
を固有名としている。次に数式を他の文中で参照するには\ref{eq:1step}
とする。\ref{eq:1step}
は番号のみの表示となるので、実際には式( \ref{eq:1step} )
のように番号を修飾する文や記号と合わせて用いるとよい。なお複数行の数式の場合は、以下のようにeqnarray環境下で数式の行ごとに\label{}
を記述する。例えば
\begin{eqnarray} x + y & = & 5 \label{eq:21ndeq} \\ 2z + 5c & = & 2 \label{eq:22ndeq} \end{eqnarray}
3. 参照できるもの
参照できるものとして式、図、表の他に章・節、ページ、参考文献がある。参照するものによって種別やコマンドは以下のようになる
参照物 | 作成 | 参照 |
---|---|---|
式 | \label{eq:ID} |
\ref{eq:ID} |
図 | \label{fig:ID} |
\ref{fig:ID} |
表 | \label{tb:ID} |
\ref{tb:ID} |
章・節 | \label{sec:ID} |
\ref{sec:ID} |
ページ | \label{ID} |
\pageref{ID} |
参考文献 | \bibitem{ID} |
\cite{ID} |
4. 使用例
以下、一部分だが使用例のコードと実行例を以下に示す。
\section{節見出し1} \label{sec:sec1} インラインでの数式挿入例は$ f(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\exp (x^2)/n $である。 番号付き数式環境は \begin{equation} x^2 - 6x + 1 = 0 \label{eq:1step} \end{equation} \begin{figure}[h] \centering \includegraphics[width=8cm]{figures/arcTo.png} \caption{Arcの作図} \label{fig:arc} \end{figure} 章\ref{sec:sec1}は参照で示している。 図\ref{fig:arc}は参照で示している。 式(\ref{eq:1steq}), 式(\ref{eq:21ndeq}),式(\ref{eq:22ndeq})は参照で示している。 表\ref{tb:table}は参照で示している。 番号付き複数行の数式環境は \begin{eqnarray} x + y & = & 5 \label{eq:21ndeq} \\ 2z + 5c & = & 2 \label{eq:22ndeq} \end{eqnarray} 以下に表の挿入 \begin{table}[htb] \centering \caption{スペック比較:罫線なし} \begin{tabular}{lcrc} 機種 & ディスプレイ & 値段 & CPUコア \\ iphone12 pro & 6.1" & 106,800円 & A14 Bionic \\ iphone12 & 6.1" & 85,800円 & A14 Bionic \\ iphone12 mini & 5.4" & 74,800円 & A14 Bionic \end{tabular} \label{tb:table} \end{table}
4. まとめ
LaTeX文書の作成方法として文中の式、図、表などの参照番号を作成する方法について紹介した。数式、図表の数が少なければわざわざ参照を作成する必要性は低いが、数が多いと非常に便利なのでぜひ覚えておきたい。