スーパーコンピュータ演算性能の変遷
1. スーパーコンピュータの性能
理研が運用するスーパーコンピューター富岳が4つの性能ランキング(TOP500, HPCG, Graph500, 2019年から新設のHPL-AI)で同時に1位になった(スーパーコンピュータ「富岳」、4つのスパコンランキングで世界第1位を獲得! | 理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS)) ということがニュースになっている。ここではTOP500(1993年から開始。ここで1位のスパコンが世界一の演算性能と見なされることが多い)の指標で1位の歴代のスーパーコンピュータの性能を中心にまとめてみた。(主にWikipediaの情報だが、古いものは個別にリンクをたどった結果)なお計算速度は最初に登場したランク年のものを用いている。(同一マシンでも年によって性能が向上しているものがある)最後のFrontierは現状計画段階だが計算速度が1E(1018) FLOPSにはじめて突入する。(AMD、Crayが米オークリッジ研究所のエクサスケールスパコン「Frontier」開発で連携へ - ZDNet Japan)
ランク年 | 名称(ベンダー) | 運用 | 計算速度(FLOPS) |
---|---|---|---|
1979-82 | Cray-1 (Cray Research) | ロスアラモス国立研究所(米国)など | 160M |
1983-85 | Cray X-MP(Cray Research) | ベル研究所(米国)など | 800M |
1985-87 | Cray-2 (Cray Research) | 米国国防総省 | 1.9G |
1988-89 | Cray Y-MP(Cray Research) | 2.67G | |
1990-91 | VP2000(富士通) | 5.0G | |
1992-93 | SX-3(NEC) | 22.0G | |
1993 | CM-5(Thinking Machine) | ロスアラモス国立研究所 | 59.7G |
1993-94 | 数値風洞(富士通) | 宇宙航空技術研究所(日本) | 124G |
1994 | Paragon XP/S140(Intel) | サンディア国立研究所(米国) | 143.4G |
1994-96 | 数値風洞(富士通) | 宇宙航空技術研究所(日本) | 170G |
1996 | SR2201(日立製作所) | 東京大学(日本) | 220.4G |
1996-97 | CP-PACS(日立製作所) | 筑波大学(日本) | 368.2G |
1997-00 | ASCI-Red(Intel) | サンディア国立研究所 | 1.07T |
2000-02 | ASCI-White(IBM) | ローレンスリバモア国立研究所(米国) | 4.94T |
2002-04 | 地球シミュレータ(NEC) | 海洋研究開発機構(日本) | 35.86T |
2004-08 | Blue Gene/L(IBM) | ローレンスリバモア国立研究所 | 70.72T |
2008-09 | Roadrunner(IBM) | ロスアラモス国立研究所 | 1.03P |
2009-10 | Jaguar(Cray) | オークリッジ国立研究所(米国) | 1.75P |
2010-11 | 天河1号A(国防科技大) | 国家超級計算天津中心(中国) | 2.57P |
2011-12 | 京(富士通) | 理化学研究所(日本) | 8.2P |
2012 | Sequoia Blue Gene/Q (IBM) | ローレンスリバモア国立研究所 | 16.33P |
2012-13 | Titan(Cray) | オークリッジ国立研究所 | 17.59P |
2013-16 | 天河2号A(国防科技大) | 国家超級計算広州中心(中国) | 33.9P |
2016-17 | 神威・太湖之光(国防科技大) | 国家超級計算無錫中心(中国) | 93.01P |
2018-19 | Summit(IBM) | オークリッジ国立研究所(米国) | 122.3P |
2020 | 富岳(富士通) | 理化学研究所 | 415.5P |
2021 | Frontier(Cray) | オークリッジ国立研究所 | 1E |
1990年まではCray Researchの独占だったが、90年代に入り富士通・NEC・日立の日本製のスーパーコンピュータが世界一になっている。2000年代はIBMのものが多く、2010年代は中国のスーパーコンピュータが多く世界一を獲得している。