1. タイマーIC
今回はタイマーICのひとつである555タイマーの利用例を紹介したいと思う。今回は基本的な動作の部分を紹介して、次回Arduinoと組みわせた事例を紹介する予定である。動作の詳細、配線などは タイマIC 555や 555 タイマー - Wikipediaを参考にしている。基本的にはCR回路で充放電の電圧を比較して0/1で出力し、時間はCR時定数に依存するというものである。主な使い方としては、何かスイッチ(信号)が入力されたときに、一定時間出力ONにしてその後OFFとなるワンショットタイマーやON/OFFを周期的に繰り返すパルス発振回路がある。まず2つの動作方法とTinkercadのシミュレーションを示す。
2. ワンショットタイマー
スイッチ(押しボタン)が押されたら一定時間LEDを点灯させて、消灯させるワンショットタイマーの構成・接続を下に示す。 まず動作電圧はICのメーカーにもよるが3~16Vなので電源は5Vを設定した。(Arduinoから供給できる電圧も5Vのため)タイマーの設定時間はDIS(放電)端子に接続している抵抗素子(9090Ω)とTH(しきい値)端子を介して接続している電解コンデンサC(100uF)のCRの値によりタイマーが動作する時間tは
上の式を用いてタイマーの設定時間を1秒にするためR=9090Ω(実物の抵抗で1個では実現できないが), C=100uFとしている。TRG端子をHIGHからGNDに落とすことでトリガー信号(より詳しくは555 タイマー - Wikipediaなど参照)となるので、ボタンを押すとGNDになるようにしている。リセット端子もGNDに落とすとTRGより優先的に働くが、今は使用しないので5V端子に接続しておく。Tinkercadのシミュレーションを実行するとLEDが1秒点灯してから消灯し、ボタンを押すと1秒間点灯してから消灯する。オシロスコープの波形は下のようになり出力がHIGHの状態が1秒つづいてLOWになっていることがわかる。
3. パルス発振回路
次に555タイマーを利用したパルス発振回路の例を紹介する。周波数1Hzでデューティー比6:4(HIGH:LOW)で発振する構成・接続を下に示す。 ワンショットタイマーとの主な違いはTRG端子とTH端子をショートさせること、5VとDIS端子の抵抗R1に加えてDIS端子とコンデンサの間に新たに抵抗R2を入れている。C,R1,R2の値によって、パルス発振の周波数、HIGH、LOWの時間が決まる。具体的には周波数f, HIGH持続時間tHIGH,LOW持続時間tLOWは
と書ける。今回はR1=25kΩ, R2=60kΩ, C=10uFとするとf=0.995(Hz),tHIGH=0.59(s),tLOW=0.41(s)となる。Tinkercadのシミュレーションを実行すると約1秒周期でデューティ比が6:4のパルス発振が得られた。
4. まとめ
今回はタイマーICの一つである555タイマーの使い方、接続、動作、Tinkercadによるシミュレーションについて紹介した。次回は今回の555タイマーとArduinoを組み合わせた事例について紹介しようと思う。