1. 単位系による電磁気法則の違い
前回までに紹介してきた電磁気に用いられるCGS単位系では、ε0=1やμ0=1、また4πを入れる、入れない(有理化)により電磁気に関する法則が見かけ上違って見える。今回は単位系によって見かけ上どのように違うかまとめた。
2. 有理化、対称化と電磁気法則
係数λを有理化係数と呼び、有理化時はλ=1, 非有理化時はλ=4πとする。また係数γを対称化係数と呼びγ=c(c:光速)のとき対称化、γ=1のときを非対称化と呼ぶ。 これら有理化係数λ, 対称化係数γを用いて電磁気の各法則をあらわすと以下の様になる。
ローレンツ力:
構成方程式:
クーロンの法則:
平行電流Iに作用する単位長さ当たりの力(ビオ・サバールの法則から)
物理定数:
光速度:
真空インピーダンス:
各単位系での有理化、対称化、ε0、μ0の関係を下表にまとめる。
単位系 | 有理化(λ) | 対称化(γ) | ε0 | μ0 |
---|---|---|---|---|
SI単位系 | 1 | 1 | 1/μ0c2 | 4π x 10-7 H/m |
CGS-esu | 4π | 1 | 1 | 1/c2 |
CGS-emu | 4π | 1 | 1/c2 | 1 |
CGS-gauss | 4π | c | 1 | 1 |
対称化係数γ, ε0, μ0はこのうち2つが決まるとc=1/(ε0·μ0)1/2を満たすように自動的に次元が割り当てられている。 それぞれの意味や経緯は、電磁気学の単位系が難しい理由に詳細に書かれている。
3. 各単位系における電磁気法則
上の式、表に従って各単位系(SI/ESU/EMU/gauss)において電磁気の各法則をあらわすと以下のようになる。
単位系 | ローレンツ力 |
---|---|
SI/ESU/EMU | |
CGS-gauss |
単位系 | マクスウェル方程式:電束 |
---|---|
SI | |
ESU/EMU/gauss |
単位系 | マクスウェル方程式:磁界-動電場 |
---|---|
SI | |
ESU/EMU | |
CGS-gauss |
単位系 | マクスウェル方程式:電界-動磁場 |
---|---|
SI/ESU/EMU | |
CGS-gauss |
単位系 | 構成方程式:電場 |
---|---|
SI | |
ESU/gauss | |
EMU |
単位系 | 構成方程式:磁場 |
---|---|
SI | |
ESU | |
EMU/gauss |
単位系 | クーロンの法則 |
---|---|
SI | |
ESU/gauss | |
EMU |
単位系 | 平行電流に作用する単位長さ当たりの力 |
---|---|
SI | |
ESU/gauss | |
EMU |
単位系 | 真空インピーダンス |
---|---|
SI | |
ESU / gauss | |
EMU |