つれづれなる備忘録

日々の発見をあるがままに綴る

オンライン展示会

 ビジネス用の展示会やイベントは東京ビッグサイト幕張メッセのような大規模、ホテルの会議室を貸切る中規模会場での開催はおおむね3月以後から中止になっているが、5月ぐらいからオンライン展示会やオンラインセミナーの企画が増えてきている。仕事上展示会をまわることが多いので、緊急事態宣言中からオンライン展示会をいくつか参加してみたときの全体印象についてまとめてみたい。

1. ビジネス展示会・イベントについて

 今まで通常開催されていたビジネス展示会・イベントは、展示会の主催企業が企画をして出展企業を募集し、応募した出展企業は説明パネルや展示物を展示ブースに設置して、来場者に取引やサービス利用のアピール、商談をするというのが一般的。来場者を増やすために、その業界の有識者による講演会(有料・無料)なども企画されることが多い。来場者側は事前に所属する会社等の情報を登録するとメールや専用ページ、あるいは招待状が郵送されて、無料で参加できるものが多いが、参加資格がビジネス関係者(企業に勤めている、または経営している)というものが多い。大学や公的研究機関の成果展示をする場合や、CEATECのような一般向けの展示会の場合は、ビジネス関係以外で学生等も参加可能なものがある。一番大規模なものだと幕張メッセ東京ビッグサイトのかなりのスペースを使用する、国際ロボット展や日本国際工作機械見本市がビジネス展示会の代表例になる。また東京モーターショーCEATEC、CP+などはビジネスと一般向けを兼ねている。また1企業(大企業)が開催する展示会は、大規模だと東京国際フォーラムを使用するもの大型ホテルの会議場を使用して、幅広く自社のサービスを展示・紹介する。

2. 展示会の現状

 2月中旬ぐらいから、新型コロナ対策としてサーモグラフィによる検温などを実施するようになるころには、来場者も徐々に少なくなり、3月近くなると出展ブースはあるが説明員を配置しない企業がでてくるようになった。3月中旬ぐらいから展示会自体が中止になって以来、大規模な展示会は開催されていない。(大規模イベント自体緩和されていないこともある)いまのところ、9月以降については展示会の企画があったりするがどうなるかわからないというのが現状になる。一方で従来の会場を借り切って大量の来場者を迎える展示会から、Web上で開催するオンライン展示会が増えてきている。例えば、会期は終了してしまったがInterop Tokyo 2021などがある。

3. オンライン展示会の仕組み

 基本的にはオンライン展示会のプラットフォームに相当するページに出展側がコンテンツを掲載して、来場者はそのコンテンツにアクセスする。コンテンツとしては、通常の展示会とほぼ同じで出展企業の商品紹介やサービスの説明のためのページと有識者や出展企業の講演動画がある。参加方法は、通常の展示会と同じで所属する会社等の情報を登録するとIDやパスワード(設定する場合もある)、参加用リンクがメールで送られてくる。オンライン展示会のページにアクセスして、出展企業のページや講演動画を視聴し、何か質問があればチャットやメールでコンタクトすることもできる。講演に関してはZoomを使って、リアルタイムで配信(オンデマンドで後から視聴できる場合もある)や展示会ページにyoutube動画などを埋め込んでいつでも視聴できるものがある。

4. 従来の展示会との違い

 従来の展示会は、企業展示を中心として講演がおまけのような印象だが、オンライン展示会の場合は講演動画が中心で、企業の出展ページがおまけのような感じになっている。出展企業数も多くて100社程度なので、出展企業数に対して講演の比率が高いように思う。また、参加するだけで無料で聴講できる講演は限られているが、オンラインはまだ試行段階のためか多くの講演が無料で視聴できる。(講演の全体数は従来よりも少ないが)いつでも視聴できるものは、都合の良いときに視聴できる上に、スキップしたり早送りできるので結果的に従来よりも多くの講演から効率よく情報収集できる点が大きなメリットになる。あとでアンケートに回答するという形でプレゼン資料が提供されることがあるのも、従来の展示会と違う点のひとつである。一方で展示ブースでの出展に相当する出展企業のページについては、社名、短文紹介、ジャンル等からクリックしてページを開いて、どのような商品・サービスを能動的に確認する必要があり、実際の展示会のように展示ブースの様子を受動的に見て決めるということができない。また出展ページについても、簡単な動画が埋め込まれている場合もあるが、説明資料、カタログや商品の紹介ページへのリンクなどがあるが、まだ工夫の余地はありそうだ。

5. メリット・デメリット

 参加側のメリットとしては、

  • 時間の制約がない/移動の労力がない・疲れない
  • 講演など、スキップ・早送りなど情報を選択して視聴できる
  • 他の作業と並行して参加できる
  • 外出ではないので、報告書など提出義務がない(参加してまとめろという業務命令はあり得るが)
  • 気になる情報があれば、同僚・上司とすぐにシェアできる

デメリットについては、展示ブースから情報を得るために積極的にページにアクセスする必要があったり、見逃したりするリスク(実際の展示会でも起こるが)がある。 個人的にはメリットの方がかなり大きいと感じている。

出展側(自分は出展側は経験していないが)として想定されるメリットとしては、出展費用が大幅に抑えられる(場所代、ブース組立、説明員の派遣など)ということが大きいと思われる。一方で、デメリットとしてはクリック数などWebの効果測定手法を用いて効果の確認はできたり、チャット・メールでの問い合わせ件数、商談に結び付いた数なども確認できるが、従来の展示会と効果の単純比較は難しく、費用対効果の評価はこれからとなるだろう。またどの展示会に出展すれば効果があるかというのも一から探る必要がありそうだ。