つれづれなる備忘録

日々の発見をあるがままに綴る

Texによる文書作成12 ~論文テンプレートの利用

 前回、2段組み文書の作成で論文投稿などではTeXフォーマットを利用できる場合があることについて触れたが、

atatat.hatenablog.com

今回はCloud LaTeXで論文テンプレートを利用した文書作成について紹介したい。

1. 論文テンプレートを用いた文書作成

 今回はCloud LaTeXを使用した場合で、通常のTeX環境を利用する場合は論文誌のホームページなどから配布されているフォーマットをダウンロードして使用することになる。 Cloud LaTeXで論文テンプレートを利用する場合は"テンプレートから作成"をクリックするといろいろな学会・論文誌が選択できるので、投稿しようとしているものを選択する。 (カバーされていなければ個別に学会・論文誌のHPからダウンロードして使用する)今回は人工知能学会論文誌を例とする。

"Cloud LaTeXでのテンプレート利用"
Cloud LaTeXでのテンプレート利用

人工知能学会のテンプレート用のTeXファイルは複数あるため、適切なファイルを右クリックして"ターゲット設定"をクリックするとターゲット設定されたTeXファイルがコンパイルされる。なおデフォルトはtemplate-j.texで今回はこれを用いる。

"ターゲット設定"
ターゲット設定

2. 論文テンプレートの利用例

 基本的にはテンプレートのTeXファイルのコメントに従って文書を作成していけば、投稿論文のフォーマットに合った文書が作成できる。参考文献についてはbtxsample.bibに例えば

@MISC{qiita1,
   author = "bremen",
   note = "ディープラーニングを数式で理解する" }

と追記して保存すれば、\cite{qiita1}とすれば人工知能学会の引用フォーマット(LaTeXデフォルトのものとは異なる)で作成される。

以下テンプレートファイルを基に簡単な文書を作成した例(フォーマットファイルのコメント行は簡略化のため削除してある)を示す。標準以外の多くのコマンドがマクロで定義されていることがわかる。

 \documentclass[originalpaper]{jsaiart}  
\Vol{12}
\No{1}
\jtitle{ディープラーニングと数式}

\jsubtitle{LaTeX表記のテスト}
\etitle{Mathematics in Deep Learning}
\esubtitle{LaTeX test}

\author{
 \name{後跡}{阿斗}{ATAT AT}
 \affiliation{はてなぶろぐ}%
     {Hatena Blog}%
     {atatat.com}
\and
 \name{使途}{使徒志登}{ct ctct}
 \sameaffiliation{ctctct.com}
}

\begin{keyword}
 LaTeX, ディープラーニング, 人工知能, ニューラルネットワーク, python
\end{keyword}

\begin{summary}
ここではディープラーニングで用いられる数式の\LaTeX 表記を簡単に紹介する。
\end{summary}

\begin{document}
\maketitle

\section{はじめに}
ディープラーニングで使われる数式を\LaTeX で表記していく。
\TeX, \LaTeX\cite{latex,texbook},数式は\cite{qiita1}を参照。

\section{今回の改良点}
ニューラルネットワークは人の脳神経の働きを模擬した機械学習手法である。
ディープラーニングは従来のニューラルネットワークの階層を深くしたものである。
\section{実験}
ディープラーニングはkerasを使うと便利
\subsection{実験結果}
\subsubsection{活性化関数}
Softmax関数は
\begin{equation}
f(u_{i}^{(l)})=\frac{\exp(u_{i}^{(l)})}{\sum_{k}\exp(u_{k}^{(l)})}
\end{equation}
\subsubsection{誤差関数}
誤差関数は
\begin{equation}
E(x_{1}^{(L)},x_{2}^{(L)},\cdots, x_{N}^{(L)})=\frac{1}{2}\sum_{k=1}^{N} (x_{k}^{(L)}-t_{k})^{2}
\end{equation}
\section{まとめ}
うまくまとまった。
\begin{acknowledgment}
すべての人々に感謝する
\end{acknowledgment}

\bibliography{btxsample}
\bibliographystyle{jsai}

\appendix

\section{偏微分の連鎖則}
\begin{equation}
\frac{\partial f(x_{1},x_{2},\cdots,x_{n})}{\partial u_{i}}=\sum_{k}^{}\frac{\partial x(u_{1},u_{2},\cdots,u_{n})}{\partial u_{i}}\frac{\partial f}{\partial x_{k}}
\end{equation}

\begin{biography}
\profile{m}{後跡 阿斗}{2019年にはてなブログを始めて現在に至る}

\end{biography}

\end{document}

実行例は以下の通りになる。2コラムの設定やマクロの定義など一から行うと労力がかかるが、テンプレートを用いると文章と基本的なTeXコードだけで綺麗なフォーマットの文書が作成できる。

"テンプレート利用例"
テンプレート利用例

3. まとめ

 今回は論文のテンプレートを利用して投稿論文のフォーマットでTeX文書作成する方法を紹介した。