つれづれなる備忘録

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計測器の通信インターフェース

1. 計測器とは

 計測器または計測装置とは、長さ、重さ、電気量(電圧、電流、周波数、抵抗など)、光強度など物理量を測定するデバイスを指す。スマートフォンなどに内蔵されているセンサも物理量を計測するデバイスだが、計測器は測定性能の安定性が高く、また絶対値などの精度が校正により保証されているものが多い。箱型の専用計測器が多いが、モジュール(ボード)で提供されるものもある。大学等の科学技術研究や企業等において研究開発の現場で使用され、センサと比較すると全般的に高額(安くて数万から、上は1千万円以上)になる。また電源装置や信号発生器もセットで使われることが多く、これらも含めて計測器と呼ばれることが多い。電気関係ではオシロスコープ、ファンクションジェネレータ、デジタルマルチメータ、直流安定化電源などが挙げられる。どんなものがあるかは下記のリンクなど参照するとよい。 www.keisokuki-world.jp

2. 計測器の通信インターフェース

 特に箱型の測定器については、トリガー入力などある程度ハード的に制御する手段はあるが基本的には本体上のボタン、キー、ダイアル、あるいはタッチパネルを手動で操作する。そこで計測器の自動化は昔から取り組まれていたが、PCの性能の向上とともに、PCを用いた計測器の自動制御が主流になってきた。(大がかりなものになるとPLCなど専用機が必要)ここでは主にPCと計測器を接続する通信インターフェースとその特徴について紹介したい。

  • RS232: Recommended Standard 232の略、シリアルポートの規格でRS232Cとも呼ばれることが多い。通信速度は20kbps(最大)で最大ケーブル長は15mで1対1の接続。コネクタ形状はもともとの正式な規格ではDsub 25ピンだったが、規格外だったDsub 9ピンの方がコネクタがシンプルなため普及した。(あとで別の規格に追加された)ケーブルはストレートケーブルクロスケーブルの2種類があり、PC同士を接続する場合はクロスケーブルを使用する。いわゆる周辺機器との接続はストレートケーブルが多いが、すべての機器がストレートとは限らないので必ず確認が必要。昔のPCはRS232を搭載していたが、現在ではほとんどのPCはインターフェースを持っていないので、カード・ボードやUSB-RS232Cの変換デバイス・ケーブルなどを利用する必要がある。

    D sub 9ピンのコネクタ形状(Wikipediaより)
    D sub 9ピンのコネクタ形状(Wikipediaより)

  • GPIB: General Purpose Interface Busの略で短距離デジタル通信バス仕様のこと。通信速度は最大1MB/s程度で最大14台までカスケードで接続できる。ケーブル長は1台同士であれば4mまで、また複数台接続した場合は総ケーブル長が20m以内。コネクタやケーブルは堅牢でノイズに強い一方、ねじ止めやケーブルのフレキシブルさに欠けるため接続作業が面倒。コネクタのサイズが大きいので、機器が密集している中では干渉も注意する必要がある。複数接続する場合はコネクタの逆サイドがメスになっているので(下の写真参照)、そこに2本目のケーブルを差し込む。(ピギーバックと呼ばれる)RS232と同様に現在はPCにインターフェースが内蔵されていないので、カード・ボードやUSB-GPIBの変換デバイス・ケーブルなどを利用する必要がある。

    GPIBコネクタ写真(Wikipediaより)
    GPIBコネクタ写真(Wikipediaより)

  • LAN: LANケーブルを使って制御・通信する方法で、通信速度は通常のLANと同じ100Mbps~1000Mbpsでケーブル長に制限がない。接続台数にも制限がない。PCとの接続では、スタンドアローンで使用する以外はスイッチングハブなど用意する必要がある。またPCが他のネットワークと接続している場合は、セキュリティ対策の検討などが必要になる。GPIBやRS232のようにねじ止めではないので、物理的な接続の堅牢性が低いのがデメリット。

  • USB: USBケーブルを使うので、多くのPC周辺機器と同じように取り扱える。通信速度はUSBの規格に従うが、USB2.0であれば480Mbs,ケーブル長5m以内となる。ハブを5段まで接続することで127台まで接続することができ、ケーブル長も伸ばすことができる。(多数の機器をつなぐ場合は電力の供給が足りなくなる可能性があるので、セルフパワー(コンセント電源)ハブを用いる)通常PCには複数のUSBポートがあるので扱いやすい。LANと同じく理的な接続の堅牢性が低いのがデメリット。

4. まとめ

個人的にはRS232とGPIBは使用したことがあるが、使いやすいインターフェースとは言えない。USBがお勧めだと思うが(個人的には使ったことがないが)、計測器側がRS232やGPIBしか対応していないと使わざるを得ないところがある。