Texによる文書作成14 ~文章を枠で囲う
今回はLaTeXを用いて文章や数式を装飾枠で囲う方法について紹介する。論文などではあまり使わないが定理や重要な数式を装飾すると、教科書や専門書のような雰囲気が出せる。
1. 部分的に枠で囲う
重要な文章や数式を1行以内で囲うにはfancyboxパッケージを利用する。枠の種類としては丸形の枠が2種類、長方形が2種類、影付きの枠が1種類利用することができる。 具体的にはプリアンブル領域で
\usepackage{fancybox}
とする。document中に以下のようなコードを記述して利用する。
\ovalbox{丸角の枠}, \Ovalbox{太丸角の枠}, \fbox{長方形の枠}, \doublebox{2重長方形の枠}, \shadowbox{影付きの枠} \par \doublebox{ピタゴラスの定理:$a^2+b^2=c^2$}\par \shadowbox{フェルマーの最終定理: $a^n+b^n=c^n$}
実行すると、文章や数式に以下のような枠をつけることができる。
例えば\ovalbox{}
内にインライン数式は入れられるが、equation環境を挿入することはできない。同様に複数行にすることもできない。
2. 複数行や数式環境を枠で囲う
ascmacパッケージを利用すると、いくつかの枠で囲うための環境を利用することができる。itembox, boxnote, shadeboxの環境があり\begin{itembox}~\end{itembox}
とすることで複数行にわたる文章や、数式環境などを利用することができる。プリアンブル領域で
\usepackage{ascmac}
としてascmacパッケージをロードして、以下のように利用する。 itemboxのオプションで[]内には、lだと見出しの"フェルマーの最終定理"は実行例の通り左寄せになる。なおcだと中央寄せ、rだと右寄せとなる。 数式はインラインだけでなく、equation環境で使用することもできる。
複数行を囲う例: \begin{itembox}[l]{フェルマーの最終定理} $n\geq3$ なる整数 n に対して,\par $x^n+y^n=z^n$ を満たす正の整数の組 x,y,z は存在しない。 \end{itembox} \begin{boxnote} ディリクレの算術級数定理: a と b が互いに素な正の整数のとき, an+b 型の素数は無限個存在する。 \end{boxnote} \begin{shadebox} ヴァンデルモンドの畳み込み:\par 以下の恒等式が成立する: \begin{equation} \sum_{k=0}^{n}\comb{p}{k}\dot \comb{q}{n-k}=\comb{p+q}{n} \end{equation} ただし,p<k のとき$\comb{p}{k}=0$ と約束する。 \end{shadebox}
実行例は以下のようになり、専門書籍のような感じになる。
3. まとめ
今回はLaTeXを用いて文章や数式を装飾枠で囲う方法について紹介した。重要な部分や定理・法則などを囲うことで、見やすい教材を作成する上で便利だと思う。