つれづれなる備忘録

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Texによる文書作成38 ~電気回路の作図8

今回はTeXを用いた電気回路図の作成のうちの表示について紹介したトランジスタの表示について紹介したい。

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1. バイポーラトランジスタ

バイポーラトランジスタの記号はn型の場合はnode[npn], p型の場合はnode[pnp]とすれば表示できる。 またオプションにphotoを追加して、node[npn,photo]とするとフォトトランジスタを表示することができる。

\begin{figure}
\begin{center}
\begin{circuitikz}

\draw (0,0) node[npn]{};
\draw (2,0) node[pnp]{};

\draw (4,0) node[npn,photo]{};
\draw (6,0) node[pnp,photo]{};
\end{circuitikz}
\caption{バイポーラトランジスタ}
\end{center}
\end{figure}

バイポーラトランジスタ
バイポーラトランジスタ

バイポーラトランジスタのベース、コレクタ、エミッタはそれぞれ名前に.B, .C, .Eを追加することで座標値にアクセスすることができる。 わかりやすくするため例えばベースに抵抗、コレクタにインダクタ、エミッタにキャパシタを接続する場合、

\begin{figure}
\begin{center}
\begin{circuitikz}
\draw (0,0) node[npn, name=T1]{};
\draw (-2,0)[R] to (T1.B);
\draw (0,1)[L] ++ (0,1) to (T1.C);
\draw (T1.E) to [C] ++(0,-1); 
\end{circuitikz}
\caption{トランジスタ接続}
\end{center}
\end{figure}

バイポーラトランジスタの名前をT1として、T1.B,T1.C,T1.Eとするとそれぞれの脚の座標値として使用することができる。

バイポーラトランジスタの接続
バイポーラトランジスタの接続

2. 電界効果トランジスタ

 バイポーラトランジスタと同様にnode[nmos]とするとNチャネル型、node[pmos]はPチャネル型の電界効果トランジスタが表示される。 また、node[nmosd],node[pmosd]は空乏層を太く表示し、node[hemt]はHEMTを表示する。

\begin{figure}
\begin{center}
\begin{circuitikz}

\draw (0,0) node[nmos]{};
\draw (2,0) node[pmos]{};

\draw (4,0) node[nmosd]{};
\draw (6,0) node[pmosd]{};

\draw (8,0) node[hemt]{};
\end{circuitikz}
\caption{電界効果トランジスタ}
\end{center}
\end{figure}

電界効果トランジスタ
電界効果トランジスタ

バイポーラトランジスタと同様に電界効果トランジスタのゲート、ドレイン、ソースはそれぞれ名前に.G, .D, .Sを追加することで座標値にアクセスすることができる。バイポーラトランジスタの例と同様に例えばゲートに抵抗、ドレインにインダクタ、ソースにキャパシタを接続する場合、

\begin{figure}
\begin{center}
\begin{circuitikz}
\draw (0,0) node[nmos, name=F1]{};
\draw (-2.2,0)[R] to (F1.G);
\draw (0,1)[L] ++ (0,1) to (F1.D);
\draw (F1.S) to [C] ++(0,-1); 
\end{circuitikz}
\caption{電界効果トランジスタ接続}
\end{center}
\end{figure}

電界効果トランジスタの接続
電界効果トランジスタの接続

電界効果トランジスタは様々な種類の記号があり、例えばMOSFETで使われる記号はnode[nigfete]で表示できる。

\begin{figure}
\begin{center}
\begin{circuitikz}

\draw (0,0) node[nfet]{};
\draw (2,0) node[nfetd]{};
\draw (4,0) node[nigfete]{};

\draw (6,0) node[pfet]{};
\draw (8,0) node[pfetd]{};
\draw (10,0) node[pigfete]{};

\end{circuitikz}
\caption{電界効果トランジスタ2}
\end{center}
\end{figure}

電界効果トランジスタ2
電界効果トランジスタ2

さらにJFET, pHセンサなどで使われるISFET(Ion Sensitive Field Effect Transistor)やグラフェントランジスタの記号も用意されている。

\begin{figure}
\begin{center}
\begin{circuitikz}

\draw (0,0) node[njfet]{};
\draw (2,0) node[pjfet]{};

\draw (4,0) node[isfet]{};

\draw (6,0) node[pgfet]{};
\draw (8,0) node[pgfet]{};

\end{circuitikz}
\caption{その他電界効果トランジスタ}
\end{center}
\end{figure}

その他電界効果トランジスタ
その他電界効果トランジスタ

3. 円記号の追加

 よくみかけるトランジスタ記号に円(丸)を追加するにはnode[]tr circleを追記するだけでよい。 以下はバイポーラや電界効果トランジスタtr circleを追記して、トランジスタ記号に円を追加している。

\begin{figure}
\begin{center}
\begin{circuitikz}

\draw (0,0) node[npn,tr circle]{};
\draw (2,0) node[nmos,tr circle]{};

\draw (4,0) node[nigfete,tr circle]{};
\draw (6,0) node[njfet,tr circle]{};

\end{circuitikz}
\caption{円記号の追加}
\end{center}
\end{figure}

トランジスタに円を追加
トランジスタに円を追加

最後に追加した円の表示を、塗りつぶし、線色、線種などはctikzset{}でカスタマイズすることができる。

\begin{figure}
\begin{center}
\begin{circuitikz}
\ctikzset{transistors/thickness=4, transistors/fill=cyan!30,transistor circle/relative thickness=0.25,}
\draw (0,0) node[npn,tr circle]{};

\ctikzset{transistor circle/color=red}
\draw (2,0) node[nmos,tr circle]{};

\ctikzset{transistors/fill=none,transistor circle/dash={{2pt}{2pt}}}
\draw (4,0) node[nigfete,tr circle]{};

\end{circuitikz}
\caption{円記号のカスタマイズ}
\end{center}
\end{figure}

円記号のカスタマイズ
円記号のカスタマイズ

4. まとめ

 今回はバイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタトランジスタ脚の接続、トランジスタに円記号の追加について紹介した。