つれづれなる備忘録

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Texによる数式表現43~線形微分方程式の解法2

 今回はTexによる数式表現方法として2階線形微分方程式の解について紹介したい。

1. 2階線形微分方程式(型式1)

 最も基本的な微分方程式として以下の2階線形微分方程式について考える。

[tex: \displaystyle \frac{d^{2}y}{dx^{2}} = F ]

 \displaystyle \frac{d^{2}y}{dx^{2}} = F

ここでFは定数とする。これは単純に2回積分すれば解が得られる。

[tex:  \displaystyle y= \frac{1}{2}Fx^{2} + C\_{1} x +C\_{0} ] 

  \displaystyle y= \frac{1}{2}Fx^{2} + C_{1} x +C_{0}

C1は1回目の積分であらわれる積分定数、C0は2回目の積分であらわれる積分定数となる。

それぞれの積分定数は、yの1階微分の初期値:dy(0)/dx=C1およびyの初期値y(0)=C0が与えらえると得られる。

2. 2階線形微分方程式(型式2)

 次に2回微分した関数が、もともとの関数に比例するという2階部分方程式について考える。

[tex: \displaystyle \frac{d^{2}y}{dx^{2}} = Fy ]

 \displaystyle \frac{d^{2}y}{dx^{2}} = Fy

ここで以下のように微分方程式の解を仮定する。

[tex: y= C \exp (\lambda x) ]

 y= C \exp (\lambda x)

仮定した解を微分方程式に代入すると、以下の関係だけが残りλが求まる。(とりあえずF>0とする)

[tex: \lambda^{2} = F \longrightarrow \lambda = \pm \sqrt{F} ]

 \lambda^{2} = F \longrightarrow \lambda = \pm \sqrt{F}

得られるλは正負2種類あるので解は

[tex: y=C\_{1}\exp (\sqrt{F} x)+C\_{2}\exp (-\sqrt{F} x ) ]

 y=C_{1}\exp (\sqrt{F} x)+C_{2}\exp (-\sqrt{F} x )

となる。C1およびC2はy(0)およびdy(0)/dxが与えられると以下の連立方程式を解くことで得られる。

<div>
[tex: \displaystyle \begin{eqnarray} C_{1}+C_{2}&=&y(0)  \\ C_{1}-C_{2}&=& \frac{dy(0)}{dx}  \end{eqnarray} ]
</div>
 \displaystyle \begin{eqnarray} C_{1}+C_{2}&=&y(0)  \\ C_{1}-C_{2}&=& \frac{dy(0)}{dx}  \end{eqnarray}

F>0という仮定をしたが、F<0の場合はλは虚数になるので

[tex: \lambda^{2} = F \longrightarrow \lambda = \pm i \sqrt{F} ]

 \lambda^{2} = F \longrightarrow \lambda = \pm i \sqrt{F}

指数関数の中身が虚数に代わるだけで上の解がそのまま当てはまる。

[tex: y=C\_{1}\exp (i\sqrt{F} x)+C\_{2}\exp (-i\sqrt{F} x ) ]

 y=C_{1}\exp (i\sqrt{F} x)+C_{2}\exp (-i\sqrt{F} x )

ここでexp(iθ)=cos(θ)+i sin(θ)という関係を用いると

[tex: y=( C\_{1} + C\_{2} )\cos (\sqrt{F}x ) + i ( C\_{1} - C\_{2} ) \sin (\sqrt{F} x ) ]

 y=( C_{1} + C_{2} )\cos (\sqrt{F}x ) + i ( C_{1} - C_{2} ) \sin (\sqrt{F} x )

ここで改めて定数の部分C1,C2を書き直して

[tex: y= A \cos (\sqrt{F}x ) + i B \sin (\sqrt{F} x )]

 y= A \cos (\sqrt{F}x ) + i B \sin (\sqrt{F} x )

定数A,BはF>0のときと同様に初期値:y(0), dy(0)/dxによって得られる。

ちなみにF=0の場合は型式1の解でF=0とした場合に合流する。型式2の解は以上のことからF>0:指数関数、F<0で三角関数、F=0では1次関数(型式1の解より)であらわせることがわかる。

3. 2階線形微分方程式(型式1)の応用

 最も有名な応用例として力学の運動方程式が挙げられる。

[tex: \displaystyle m \frac{d^{2}x}{dt^{2}} = F ]

 \displaystyle m \frac{d^{2}x}{dt^{2}} = F

ここでmは質点の質量、Fは一定の力、xは質点の位置、tは時間をあらわす。xについて鉛直上方向を正とするとき物体の自由落下の運動方程式

[tex: \displaystyle m \frac{d^{2}x}{dt^{2}} = -mg ]

 \displaystyle m \frac{d^{2}x}{dt^{2}} = -mg

ここで、gは重力加速度をあらわす。この方程式は上に示した型式1の解がそのまま当てはまり、

[tex:  \displaystyle x(t)= -\frac{1}{2}gt^{2} + v\_{0} t + x\_{0} ] 

  \displaystyle x(t)= -\frac{1}{2}gt^{2} + v_{0} t + x_{0}

ここでdx(0)/dt=v0を初速度、x(0)=x0を初期位置とする。鉛直上向き初速度(v0>0)で打ち上げられた場合、しばらく減速しながら鉛直上向きに運動し、その後下向きに加速しながら落ちてくるということを表している。ここで重力加速度が存在しない状態(無重力)だと初速度v0で等速直線運動をし続けるという結果になる。

4. 2階線形微分方程式(型式2)の応用

 ばねに関する運動方程式は、x=0をばねの基準とした場合(復元力0)は質点の作用する力は基準からのずれに比例する逆方向の力が作用する。

[tex: \displaystyle m \frac{d^{2}x}{dt^{2}} = -kx ]

 \displaystyle m \frac{d^{2}x}{dt^{2}} = -kx

kはばね定数でk>0とすると-k<0となるので解は三角関数であらわせる

[tex: \displaystyle x(t)= A \cos (\sqrt{ \frac{k}{m} }t ) + i B \sin (\sqrt{ \frac{k}{m} } t )]

 \displaystyle x(t)= A \cos (\sqrt{ \frac{k}{m} }t ) + i B \sin (\sqrt{ \frac{k}{m} } t )

ばねにつながれた質点をx=aの位置に移動させて、そこで手を離すことを想定すると初期位置はx(0)=a, 初速度はdx(0)/dt=0とすると、A=a, B=0となり上の解は

[tex: \displaystyle x(t)= a \cos (\sqrt{ \frac{k}{m} }t ) ] 

 \displaystyle x(t)= a \cos (\sqrt{ \frac{k}{m} }t )

ここで周期T(s)は以下を満たす。

[tex: \displaystyle \sqrt{\frac{k}{m}} T = 2 \pi, \longrightarrow T=2\pi \sqrt{\frac{m}{k}} ]

 \displaystyle \sqrt{\frac{k}{m}} T = 2 \pi, \longrightarrow T=2\pi \sqrt{\frac{m}{k}}

5. まとめ

 今回はTeXによる数式表現として2階線形微分方程式の解法と応用例について紹介した。