つれづれなる備忘録

日々の発見をあるがままに綴る

SI組立単位1

1. SI組立単位とは

 前回の7つのSI基本単位(長さ、質量、時間、電流、温度、物質量、光度)を組み合わせてできる単位系のことをSI組立単位とよぶ。今回(量が多いので何回かに分ける予定)はSI組立単位系の一部について紹介したいと思う。 atatat.hatenablog.com

2. 単位の組み合わせ方法

 ここで単位の組み合わせ方法について記す。長さ(m)を例にとる。

  • 加算・演算は単位は変わらない

2(m)+1(m)=3(m), 2(m)-1(m)=1(m)

  • 乗算・除算はそのまま計算する

2(m) x 1(m)=2(m2):面積, 2(m)/1(m)=2 :長さの比, 単位がない量を無次元量とよぶ。

  • 異なる単位は加算・減算できない(乗除算はできる)

2(kg)-1(m), 3(kg)+1(m)→演算できない。2(m)/2(s)=1(m/s)(速度), 1(N)·1(m)=1(N·m=J)(エネルギー)

3. SI組立単位

SI基本単位から直接組み立てられるSI組立単位を下表に示す。基本単位についてはそれぞれ長さ:L、質量:M、時間:t、電流:I、温度:T、物質量:mol、光度:ILと表記し、また変化量を表す場合はΔをつけて表記する(ex:ΔLは長さ・距離の変化量)

物理量 SI組立単位 導出
面積(S) m2 S=L·L
体積(V) m3 V=L·L·L
速度(v) m/s v=ΔL/Δt
波数(k) m-1 k=1/λ=1/L
密度(ρ) kg/m3 ρ=M/V
電流密度(i) A/m2 i=I/S
磁界強度(H) A/m H=I/(2πL) (アンペールの法則)
モル濃度(c) mol/m3 c=mol/V
輝度(LV) cd/m2 LV=IL/S

4. SI組立単位の活用

 SI組立単位はSI基本単位を組み合わせており、計算方法そのものを表している。よって、計算結果の組立単位を確認することによって計算方法が正しいかどうか簡易的に確認することができる。(次元チェックとも呼ぶことがある)例えば、光度から輝度を導出するためには輝度 (光学) - Wikipediaから

L_\theta =\dfrac{ dI_ \theta }{\cos \theta dS}

Lθは輝度、θは光源面に対する角度(無次元量)、dIθはθ方向の光度(cd)、dSは光源の面積(m2)。上の通り単位を組み合わせるとcd/((無次元量)·m2)となり輝度の組立単位と一致する。ただし、無次元量の係数の確認はできないので、あくまで簡易的なチェックになる。またSI単位組立から大まかな物理量の特性を推測することもできる。例えば磁界強度は単位はA/mとなっているが、これは電流(A)が流れると磁界が生じ、距離(m)によって減衰するというアンペールの法則の特徴を表している。

5. まとめ

 今回はSI基本単位から直接組み合わせてできるSI組立単位や単位の組み合わせ方法、活用法について紹介した。次回も今回紹介できなかったSI組立単位について触れようと思う。