つれづれなる備忘録

日々の発見をあるがままに綴る

CGS単位系(静電単位系)

1. 電磁気に使われるCGS単位系

 前回はCGS単位系と主に力学系に使われるCGS単位について紹介した。今回は電磁気で使用されるCGS単位について紹介する。まず電磁気でCGS単位系ではCGS静電)単位系(CGS-esu:electrostatic system of units)、CGS電磁単位系(CGS-emu:electromagnetic system of units)、CGSガウス単位系(CGS-Gauss)の3種類があり、今回はCGS静電単位系について紹介する。

2. 静電単位の導出

 真空の誘電率ε0=1 (SI単位系では8.85 x 10-12 F/m)として、さらにクーロンの法則において4πを含めない

 F=\dfrac{Q_1 Q_2}{r^ 2} \qquad (\mathrm{esu \, unit})

  において、1cm間の力が1 dynとなる等しい電荷量を1 statC (静電単位)と定義する。なおSI単位系でのクーロンの法則は

 F=\dfrac{1}{4\pi\varepsilon_0}\dfrac{Q_1 Q_2}{r^ 2} \qquad (\mathrm{SI \, unit})

1 statCの単位はクーロンの法則からdyn1/2·cmとなり、SI単位に変換するにはさらに4πε0を用いて

 1\,\mathrm{statC}=\sqrt{4\pi\varepsilon_0 10^{-5}(\mathrm{N})10^{-4}(\mathrm{m})}=\dfrac{1}{10c}=\dfrac{10}{c_{\mathrm{cgs}}}\approx 3.34 \times 10^{-10}\,\mathrm{C}

ここでε0μ0=1/c2, μ0=4π x 10-7を用いた。またcは光速度で2.99792458 x 108 (m/s)で ccgsはcgs単位での光速度で2.99792458 x 1010 (cm/s)をあらわす。

3. CGS静電単位

静電単位(statC)とCGS単位系を組み合わせたCGS静電単位をSI単位と併記して下にまとめた。なおSI(組立)単位については、過去記事で取り上げている。

atatat.hatenablog.com

物理量 名称(SI) SI組立単位 ESU単位 ESU組立単位
電荷 C s·A statC -
電流 A - statA statC/s
電圧 V W/A statV erg/statC *1
電場 - V/m - statV/cm
電束密度 - C/m2 - statC/cm2
電気双極子モーメント - C· m - statC·cm
磁気モーメント - A· m2*2 - statC·cm2
磁束 Wb V·s statWb statV·s
磁束密度 T Wb/m2 statT statWb/cm2
磁界強さ - A/m - statA/cm (x 4π)
電気抵抗 Ω V/A statΩ statV/statA
電気抵抗率 - Ω·m - statΩ·cm
静電容量 F C/V statF statC/statV
インダクタンス H Wb/A statH statWb/statA

一部SI単位と定義が異なるものの、基本的にはSI組立単位とESU組立単位は一致しており、statCを1/(10c)に置き換えてESU組立単位に従って演算すれば、SI単位系に変換することができる。

4. まとめ

今回は電磁気で使用されるCGS単位としてCGS静電単位系(CGS-esu)について紹介した。次回はCGS電磁単位系(CGS-emu)について取り上げる予定である。

*1:∵ W/A=(J/s)/(C/s)

*2:E-B対応