Texによる数式表現33~ルジャンドル多項式
今回は物理学などで使われるルジャンドル多項式のTeXによる数式表現について紹介する。
1. ルジャンドル多項式の定義
[tex:\displaystyle \frac{d}{dx} \left\\[ (1-x^{2} ) \frac{d}{dx} f(x) \right\\] +\lambda (\lambda+1)f(x)=0 ]
ルジャンドルの微分方程式を冪級数法で得られた解をルジャンドル関数と呼ぶ。
2. ルジャンドル多項式の生成公式
[tex:\displaystyle P\_{n}(x)=\frac{1}{2^{n}n!}\frac{d^{n}}{dx^{n}}\left\\[ (x^{2}-1) \right\\] ]
で得られる。また各行の係数を得るには
[tex:\displaystyle \frac{1}{\sqrt{1-2xt+t^{2}}} = \sum\_{n=0}^{\infty} P\_{n}(x)t^{n} ]
またP0(x)=1, P1(x)=xとして、ボネの漸化式
[tex:\displaystyle (n+1) P\_{n+1}(x)=(2n+1)xP\_{n}(x)-nP\_{n-1}(x) ]
また直接多項式を生成するには
[tex: \displaystyle P\_{n} (x) = 2^{n} \sum\_{k=0}^{n} x^{k} \binom{n}{k} \binom{\frac{n+k-1}{2}}{n} ]
2項係数はbinorm{n}{k}
を用いる。
3. 具体的なルジャンドル多項式の例
[tex: \displaystyle P\_{0}(x)=1] [tex: \displaystyle P\_{1}(x)=x] [tex: \displaystyle P\_{2}(x)=\frac{1}{2}(3x^{2}-1)] [tex: \displaystyle P\_{3}(x)=\frac{1}{2}(5x^{3}-3x)] [tex: \displaystyle P\_{4}(x)=\frac{1}{8}(35x^{4}-3x^{2}+3)] [tex: \displaystyle P\_{5}(x)=\frac{1}{8}(63x^{5}-70x^{3}+15x)] [tex: \displaystyle P\_{6}(x)=\frac{1}{16}(231x^{6}-315x^{4}+105x^{2}-5)] [tex: \displaystyle P\_{7}(x)=\frac{1}{16}(429x^{7}-693x^{5}+315x^{3}-35x)]
偶関数と奇関数が交互になっており、また最初の係数は偶関数・奇関数でペアになっている。
4. ルジャンドル多項式の応用
ルジャンドル多項式の応用としてニュートンポテンシャルの展開係数
[tex: \displaystyle \frac{1}{| {\bf{x}} - {\bf{x'}} |} = \frac{1}{\sqrt{r^{2}+{r'}^{2} -2rr'\cos\theta}} = \sum\_{l=0}^{\infty}\frac{{r'}^{l} }{r^{l+1}}P\_{l}(\cos\theta)]
を得る。積分する際の冪級数近似や直交性を利用して計算を簡略化する上で役に立つ。
またラプラス方程式
[tex: \displaystyle \nabla^{2} \Phi ({\bf{x}}) = 0]
を極座標系であらわされる解はルジャンドル多項式であらわすことができる。
[tex: \displaystyle \Phi (r,\theta) = \sum\_{l=0}^{\infty} \left\\[ A\_{l}r^{l}+B\_{l}r^{-(l+1)} \right\\] P\_{l}(\cos\theta) ]