今回はTexによる連分数の表現方法について紹介したい。エンジニアリングの分野ではあまり使われることがないと思うが、式の代入の結果連分数のような形になることがあるかもしれない。
1. 連分数
連分数とは分母に分数が含まれているような分数のことを指し、分子が全て 1 である場合は単純連分数または正則連分数と呼ぶこともある。
a0は整数、a1以後は正の整数をあらわす。
[tex: x=a\_{0}+\dfrac{1}{a\_{1}+\dfrac{1}{a\_{2}+\dfrac{1}{a\_{3}}}} ]
連分数を綺麗に表示するにはディスプレイスタイルで分数を表示するdfrac
を使うとよい。比較のためにfrac
を使うと以下のように、分数のサイズがだんだん小さくなっていく。
[tex: \displaystyle x=a\_{0}+\frac{1}{a\_{1}+\frac{1}{a\_{2}+\frac{1}{a\_{3}}}} ]
連分数を定義通り分数であらわすとわかりやすいが、表記的にはかなりスペースが必要なので短縮した表現も使われることがある。
[tex: \displaystyle x=a\_{0}+\frac{1}{a\_{1}+}\frac{1}{a\_{2}+}\frac{1}{a\_{3}+}]
または
[tex:\displaystyle x=\\[ a\_{0} ; a\_{1} , a\_{2} , a\_{3} \\] ]
こちらは連分数の極限を表現するのに適している。
[tex:\displaystyle x=\\[ a\_{0} ; a\_{1} , a\_{2} , a\_{3} , \ldots \\] = \lim_{n \to \infty} \\[ a\_{0} ; a\_{1} , a\_{2} , a\_{3} , \ldots a\_{n} \\] ]
2. 連分数で表される数
黄金数φ(参照 wikipedia:黄金比 )はx2-x-1=0の正の解で表されるため、このxの2次方程式を変形して
[tex: x=1+\dfrac{1}{x}]
連分数側に再度上のxの右辺を代入すると
[tex: x=1+\dfrac{1}{1+\dfrac{1}{x}}]
これは無限回繰り返すことができるので、黄金数は
[tex: x= \phi =1+\dfrac{1}{1+\dfrac{1}{1+\dfrac{1}{\ddots}}} =\\[ 1 ; 1 , 1 , 1 , \ldots \\] ]
黄金数だけでなくx2-nx-1=0の正の解にも同様の手法で連分数を用いて表現することができる。
[tex: x=n+\dfrac{1}{n+\dfrac{1}{n+\dfrac{1}{\ddots}}} =\\[ n ; n , n , \ldots \\] =\dfrac{1}{2} \left( n+\sqrt{n^{2}+4} \right) ]
2の平方根:
[tex: \sqrt{2} = x=1+\dfrac{1}{2+\dfrac{1}{2+\dfrac{1}{\ddots}}} =\\[ 1 ; 2 , 2 , \ldots \\] ]
3の平方根:
[tex: \sqrt{3} = x=1+\dfrac{1}{1+\dfrac{1}{2+\dfrac{1}{1+\dfrac{1}{\ddots}}}} =\\[ 1 ; 1 , 2 , 1 , \ldots \\] ]
3. まとめ
連分数自体を扱うことは少ないと思うが、分母に分数を複数含むような場合はdfrac
を用いるとスペースは必要だが綺麗に表示することができる。