Texによる数式表現52~基本的な微分公式の活用
Texによる数式表現方法としていくつかの基本的な微分公式から微分公式の導出について紹介する。
1. 基本的な微分公式
頻繁に使う公式は、結局のところ覚えてしまうので導出の必要もなくなるが、以下の3つから若干複雑な商の公式や係数がxでない場合などに対応できるようになる。
合成関数の微分公式
[tex: \displaystyle { f( g(x) ) }^{\prime} = f^{\prime} (g(x)) g^{\prime} (x)]
関数積の微分公式
[tex: \displaystyle ( f(x) g(x) )^{\prime} = f^{\prime}(x) g(x) + f(x) g^{\prime} (x) ]
べき乗関数の公式
[tex: \displaystyle ( x^{n} )^{\prime} = n x^{n-1} ]
2. 微分公式の導出
上の3つを覚えておけば商の微分公式が導ける。まず1/f(x)の微分は関数f(x)のべき乗関数 (f(x))-1と見なして合成関数の微分と冪関数の微分公式を適用する。
[tex: \displaystyle \left( \frac{1}{f(x)} \right)^{\prime} = -( f(x) )^{-2} f^{\prime} (x) =\frac{-f^{\prime} (x)}{f(x)^{2}} ]
結局
商の微分公式0
次に関数同士の商の微分 f(x)/g(x)は f(x)と1/g(x)の関数積の微分公式を適用し、1/g(x)は上の商の微分公式0を適用する。
<div> [tex: \displaystyle \begin{eqnarray} \left( \frac{f(x)}{g(x)} \right)^{\prime} &=& \left( \frac{1}{g(x)} \right)^{\prime} f(x) + \frac{f^{\prime} (x) }{g(x)} \\ &=& \frac{-f(x)g^{\prime}(x)}{g(x)^{2}}+ \frac{f^{\prime} (x)g(x) }{g(x)^{2}} = \frac{f^{\prime} (x)g(x)-f(x)g^{\prime}(x)}{g(x)^{2}} \end{eqnarray}] </div>
結果をまとめると
商の微分公式
3. その他の応用例
公式というレベルではないが関数の変数xに係数がかかっている、べき乗になっているなどのケースは合成関数の微分を適用できる。
[tex: \displaystyle { f( ax ) }^{\prime} = (ax)^{\prime} f^{\prime} (ax) =a f^{\prime} (ax) ]
[tex: \displaystyle { f( x^{2} ) }^{\prime} = (x^{2})^{\prime} f^{\prime} (x^{2}) =2x f^{\prime} (x^{2}) ]
係数やべき乗に限らず関数fの引数を関数とみなして合成関数の公式を適用すればよい。
関数の積が3つの場合は、関数積の公式を応用して
<div> [tex: \displaystyle \begin{eqnarray} ( f(x) g(x) e(x) )^{\prime} &=& f^{\prime}(x) ( g(x) e(x) )+ f(x) (g(x) e(x) )^{\prime} \\ &=& f^{\prime}(x)g(x)e(x) +f(x) g^{\prime}(x) e(x)+f(x) g(x) e^{\prime}(x) \end{eqnarray} ] </div>
3. まとめ
今回は合成関数、関数積、べき乗関数微分公式は微分のためだけでなく積分を実行する際にも役に立つので、試験以外は頭の片隅にいれておくだけで計算のヒントになることがある。