Texによる数式表現方法としていくつかの基本的な微分公式から指数・対数関数の微分公式の導出について紹介する。
1. 基本的な指数・対数の微分公式
以下の指数関数の微分は、使用頻度が高く、また微分しても関数形が同じというところから、覚えやすい微分公式の1つになっている。
指数関数の微分
[tex: \displaystyle ( e^{x} )^{\prime} = e^{x} ]
対数の微分は、積分を取り扱う上でもよく出てくるので、こちらも覚える価値はある微分公式である。
対数関数の微分
[tex: \displaystyle ( \ln x )^{\prime} = \frac{1}{x} ]
ただし、指数関数の微分から導出することができる。
[tex: \displaystyle \ln x = f(x) \quad 両辺指数化: \rightarrow x=e^{f(x)} ]
ここで両辺微分するが、右の項は指数関数と合成関数の微分公式を用いる
[tex: \displaystyle 1=e^{f(x)} f^{\prime}(x) \rightarrow f^{\prime}(x)=e^{-f(x)} ]
ここで両辺を再び対数をとると
[tex: \displaystyle \ln ( f^{\prime}(x) )=-f(x)=-\ln x =\ln \left( \frac{1}{x} \right) ]
左辺の対数と右辺の対数の中身を見比べると
[tex: \displaystyle f^{\prime}(x) =( \ln x )^{\prime}= \frac{1}{x} ]
少し計算しないといけないので対数関数に関しては覚えた方が早い。
2. 一般的な指数・対数関数の微分公式の導出
指数がネイピア数以外の一般的な指数関数の場合
上の対数関数の導出と同様にax=f(x)と置き換えて、対数をとったあと微分する。
[tex: \displaystyle a^{x} = f(x) \quad 両辺対数化: \rightarrow x \ln a=\ln f(x) ]
ここで両辺微分するが、対数関数の微分と合成関数の微分公式を用いる。
[tex: \displaystyle\ln a = \frac{f^{\prime}(x)}{f(x)} \rightarrow f^{\prime}(x)=f(x) \ln a =a^{x} \ln a ]
一般的な指数関数の微分
[tex: \displaystyle (a^{x} )^{\prime}=a^{x} \ln a ]
最後に指数が変数になっているxxの微分は、上と同様の手順で導出できる。
[tex: \displaystyle x^{x}=f(x) \rightarrow x\ln x=\ln f(x) ]
ここで両辺微分をとるが、左辺は変数の指数乗のため関数積の微分公式を適用する。
[tex: \displaystyle \ln x + x \frac{1}{x}=\frac{f^{\prime}(x)}{f(x)} \rightarrow f^{\prime}(x)=f(x) ( \ln x +1 )=x^{x} (\ln x +1) ]
まとめると
変数の指数関数の微分
[tex: \displaystyle (x^{x} )^{\prime}=x^{x} (\ln x +1) ]
3. まとめ
いくつか指数、対数関数の微分公式を導出したが、基本的にはexとln(x)だけ覚えておけば実用上は問題ないと思う。