Texによる数式表現56~基本的な微分公式の活用5
Texによる数式表現方法としていくつかの基本的な微分公式から双曲線関数の微分公式の導出について紹介する。
1.双曲線関数
双曲線関数は基本的には指数関数なので、指数関数の微分を抑えておけばすべて導出できる。また、双曲線関数のsinh,cosh,tanhなどから基本的には三角関数の微分と対応しているので三角関数の微分を覚えておけばそのまま適用できる。
[tex: \displaystyle \sinh x = \frac{\exp (x)- \exp (-x) }{2} ] [tex: \displaystyle \cosh x = \frac{\exp (x) + \exp (-x) }{2} ] [tex: \displaystyle \tanh x = \frac{\sinh x }{\cosh x} ]
2. 双曲線関数の微分公式
[tex: \displaystyle ( \sinh x )^{\prime} = \frac{\exp (x) + \exp (-x) }{2} = \cosh x ] [tex: \displaystyle ( \cosh x )^{\prime} = \frac{\exp (x) - \exp (-x) }{2} = \sinh x ]
双曲線関数では
に相当する
という関係があることを利用して
<div> [tex: \displaystyle \begin{eqnarray} ( \tanh x )^{\prime} &=& ( \frac{\sinh x}{\cosh x} )^{\prime} = \frac{ (\sinh x)^{\prime} \cosh x - \sinh x ( \cosh x )^{\prime}}{\cosh^{2} x} \\ &=& \frac{ \cosh^{2} x - \sinh^{2} x }{\cosh^{2} x} = \frac{ 1 }{\cosh^{2} x} \end{eqnarray}] </div>
基本的にはそれぞれの関数の定義に従って、商の微分公式 -f'/f2を適用していけばよい。
なお\coth
はあるが、\csch
, \sech
は存在しないので{\rm{csch}}
, {\rm{sech}}
としてローマン体になるようにする。
[tex: \displaystyle ( {\rm{csch}} x )^{\prime} = (\frac{ 1 }{\sinh x} )^{\prime} = -\coth x {\rm{csch}} x ]
[tex: \displaystyle ( {\rm{sech}} x )^{\prime} = (\frac{ 1 }{\cosh x} )^{\prime} = -\tanh x {\rm{sech}} x ]
[tex: \displaystyle ( \coth x )^{\prime} = (\frac{ 1 }{\tanh x} )^{\prime} = (-\frac{ 1 }{\tanh^{2} x} \frac{ 1 }{\cosh^{2} x})= -\frac{ 1 }{\sinh^{2} x} ]
3. まとめ
基本的にはsin,cos関数の微分公式と似ている(少し差があるが)ので、三角関数の微分を覚えていれば類推することができる。